Translate
2014/02/22
2014/02/09
Studio Vico Magistretti
ミュージアムとして一般公開されているVico Magistrettiのミラノにある事務所を訪れた。
彼がやった仕事量からすると驚くほど小さい事務所であるが、彼は事務所を始めてから死ぬまでアシスタントを一人雇っていただけで、一人でここで働いていた。彼と働いたメーカーなどがそれぞれ彼専用のアーカイブを持っているため小さい事務所でも大丈夫だったようだ。
彼が手がけていたのはコンセプト・デザインと基本図面だけで施工図面などは仲間の事務所に任せていたらしい。
インタビューでも答えているが、彼はデザインにおいて他者、異業種の人々との対話を基本にしていたようだ。「孤独に対する勝利」とまで言っている。常に一人で動き、プロジェクトごとに組織をダイナミックに編成するための働き方だったのだろう。
建築模型が飾ってある会議室 |
Maralungaの実験模型のようなものも置いてありチェーン構造が見える。 |
会議室には彼がデザインした椅子がバラバラに置いてあるが、テーブルは彼がデザインしたものを置かず(おそらく)アンティークものを置いているのが興味深い。仕事机も同じものを使っている。
仕事部屋の窓 |
仕事部屋の窓には、彼の座っている位置から隣地の教会が見えるように鏡が貼ってある。
アッキレ・カスティリオーニも事務所内の角に鏡を置いていたが、彼の場合はイタズラ心で訪問者に実際座っている位置とは違う位置で自分を見せるためだったらしい。マジストレッティの場合はあくまで外向きの視線でありカスティリオーニとは対照的に感じた。
僕がずっと気になっていた彼の言葉で「シンプルとはこの世でもっとも複雑なものだ」というものがあるが、仕事場を見ているとより彼の「シンプル」というものが、言葉ほど単純なものではなく、理解するのが難しいものであると感じる。
アンティークの家具、窓際に貼った鏡、ボードに貼られた無数のメモ、イメージなどを見ていると彼が言う「シンプル」とは排除していくことではなく、世界中(特に日本)で流行っているシンプルさとは一線を画すという印象を受けた。
彼のいうシンプル、単純には複雑が内包されている。