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2013/01/18

事故を起こす計画

旅をしていてよく思うが、あらかじめ行き先を全部きめて予定通りに動くよりも、何も決めずに五感に従ってブラブラ歩き、その場で出会ったものに反応してる方がおもしろい。
おもしろさでいったらそうなのだが、やはり旅行期間も限られているので毎日そうするわけにはいかず、計画もある程度必要であるが、そのある程度っていうのが重要な気がする。

建築設計においても、ディレクションは大事だと思うが、あらかじめ行き方の記された地図をもらっても良いものはできないんじゃないかと思う。
磯崎新はよく「事故を起こせ」と事務所で言っていたらしい。
磯崎アトリエの所員から聞いたのだが、あるプロジェクトのために佐々木睦朗に自己生成する構造のシュミレーションをしてもらって、その結果を彼がもう一度三次元に起こすときに佐々木睦朗のシュミレーションモデルが不恰好だったので少し形を整えてモデリングし直したら、めちゃくちゃ怒られたという。その時にしか生まれないもの、計画された意図からは生まれない形が大事なのだという意味だと思う。

意図から離れたところで事故的にすごいものができるというのは、よく聞く話だ。
建築、デザインだけでなく、ノーベル賞をもらうような発見もほとんどが事故から生まれているという。

重要なのは、事故を許容そして受容できる態度じゃないか。
もちろん計画は重要だが、設計図から外れたときに、外れたエレメントを興味深くおもしろがれるかが大事だと思う。
それから、あえて事故がおきるようにネジをゆるめておくような、もしくは隙間をあけておくような、不完全な、破れた、オープンな、他者がそこから入ってこれるような計画が良いんじゃないかとすら思う。

Jackson Pollock