7/5のOpen Migiwaで木船の設計を80年(15歳から初めて御年95歳!)やられているマルナカ工作所の中田武治さんにお話を伺った。
中田さん曰く木の船は手描きでなければ描けないという。木の定規を複数の文鎮で押さえてしならせることで波や空気の抵抗を受けにくい絶妙な曲線を描く。張る面材も木であるから木の定規を使って無理のない曲線であれば施工も無理なくできるとのこと。これがコンピュータで書いた線だと現場では上手くいかない。まさに木と共創しながら図面を描いている。
波や風のような自然環境とエンジニア的、数学的感覚だけでなく身体的感覚でもって対峙しているように感じた。さらには中田さんは風水にも精通しているそう。どこまで設計しても神頼みの部分が残るし、解明できない部分があるという謙虚さを感じた。
見えないし認知できないが存在する(と思われる)ものとどう対峙するか。数学者の岡潔がいうところの「情緒」のようなものが設計にも必要なのではないかと感じた。それは二元論的に明解に割り切れる設計ではなく、木や波や風という未知なる自然と対峙した設計ではないか。